【美味倶楽部。】
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恋猫
@ナナ猫
パリの美術館の裏に住む深海色の毛並みの猫が恋をした。
相手は魚、しかも美術館の絵の中に棲んでいる。
猫にとって魚は特別な日に食べる大好物。まさか食べ物に恋をするなど誰も思いもしなかった。
けれどその魚は普通の魚とは違う特別なオーラを放ち、猫の心を一瞬で捉えてしまった。
その魚は金色の宝石のように輝く静かな美しい魚。
暗い海の底で孤高の光を放っている。
猫は魚のことばかり考えた。
寝ることも食事をすることも忘れ、魚のことばかり想った。
猫はとうとう病気のようにやせ細ってしまった。
見かねた館長は若い絵描きに金の魚の棲む絵をそっくりそのまま模写してほしいと頼みに行った。
ただし、金の魚は別のキャンバスに描くようにと注文した。
絵が出来上がると、館長は本物の絵と、金の魚がいない暗い海の底の絵とをかけかえた。
そして魚だけが描かれたキャンバスに、丁寧に鋏を入れて魚を切り抜くと、ピンクのベルベットのリボンに縫い付けた。
すべての準備が調うと、館長は猫を抱き上げ美術館の中に連れて入った。
金の魚が棲んでいたはずの、空っぽになった海の底の絵を見て、猫は静かにはらはらと泣いた。
あの美しかった金の魚は自分の棲む海を捨て、猫の前から消えてしまった…。
すると館長はポケットからピンクのリボンのついた例の魚を取り出して、猫の首にかけてやった。
目の前から消えてしまったと思った魚が、今この瞬間、滑らかなピンクのベルベットのリボンによって猫と結ばれたのだ。
館長は猫を美術館の裏に戻すと、猫の頭を優しく一撫でして帰っていった。
それから、美術館の裏で、ピンクのリボンで首に金色の魚をかけた猫の姿を見るようになったが、やがて猫はいなくなった。
一生の伴侶を得た猫は、金の魚に世界のあらゆる美しいものを見せてやろうと、魚を連れて旅をすることに決めたのだった。
・*:.。.・*:.。. ・*:.。. ・*:.。. ・*:.。. ・*:.。.・*:.。. ・*:.。.
大好きな画家、パウル・クレーの絵を眺めていると、
なんだか一匹の猫になってしまったような気がしてきます。
魚のモチーフを使った作品が多いからでしょうか。
この作品はパウル・クレーの有名な『金色の魚』。
他に、『魚の魔術』なども大好きな絵のひとつです。
【恋猫】
パリの美術館の裏に住む深海色の毛並みの猫が恋をした。
相手は魚、しかも美術館の絵の中に棲んでいる。
猫にとって魚は特別な日に食べる大好物。まさか食べ物に恋をするなど誰も思いもしなかった。
けれどその魚は普通の魚とは違う特別なオーラを放ち、猫の心を一瞬で捉えてしまった。
その魚は金色の宝石のように輝く静かな美しい魚。
暗い海の底で孤高の光を放っている。
猫は魚のことばかり考えた。
寝ることも食事をすることも忘れ、魚のことばかり想った。
猫はとうとう病気のようにやせ細ってしまった。
見かねた館長は若い絵描きに金の魚の棲む絵をそっくりそのまま模写してほしいと頼みに行った。
ただし、金の魚は別のキャンバスに描くようにと注文した。
絵が出来上がると、館長は本物の絵と、金の魚がいない暗い海の底の絵とをかけかえた。
そして魚だけが描かれたキャンバスに、丁寧に鋏を入れて魚を切り抜くと、ピンクのベルベットのリボンに縫い付けた。
すべての準備が調うと、館長は猫を抱き上げ美術館の中に連れて入った。
金の魚が棲んでいたはずの、空っぽになった海の底の絵を見て、猫は静かにはらはらと泣いた。
あの美しかった金の魚は自分の棲む海を捨て、猫の前から消えてしまった…。
すると館長はポケットからピンクのリボンのついた例の魚を取り出して、猫の首にかけてやった。
目の前から消えてしまったと思った魚が、今この瞬間、滑らかなピンクのベルベットのリボンによって猫と結ばれたのだ。
館長は猫を美術館の裏に戻すと、猫の頭を優しく一撫でして帰っていった。
それから、美術館の裏で、ピンクのリボンで首に金色の魚をかけた猫の姿を見るようになったが、やがて猫はいなくなった。
一生の伴侶を得た猫は、金の魚に世界のあらゆる美しいものを見せてやろうと、魚を連れて旅をすることに決めたのだった。
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大好きな画家、パウル・クレーの絵を眺めていると、
なんだか一匹の猫になってしまったような気がしてきます。
魚のモチーフを使った作品が多いからでしょうか。
この作品はパウル・クレーの有名な『金色の魚』。
他に、『魚の魔術』なども大好きな絵のひとつです。
(2007/11/14)
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美味倶楽部夜話。
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